ベガをナーフしてほしい。さすがに。その要望案をここに書いてみます。開発の人が見るかもしれないし、見たら参考にしてくれるかもしれない。このキャラのどういう部分に、どう思っているのか。つらつら書いていきます。
そもそもベガとはどんなキャラなのか。弱点は対空の発生が遅いことと、切り返しの無敵技が弱いこと。守りは若干弱いがパワーのあるキャラ、だと認識している。
ベガと対戦するのかなり苦しいんだけど、どこが不快だろうか。
前提として「強いからナーフしてほしい」というのはとりあえずある。それはさておき、対戦してて不快だなという箇所を特に述べたい。例えるなら前バージョンのルークの火力の高さは許せても空中フラッシュナックルで逃げるのは許せない、というような。ケンの運びと迅雷は我慢するけど裏回りOD空中竜巻だけは許せない、というような。強いか弱いかよりも不快なところを特に書いていきます。
立ち大パン
そもそもどんな技なのか
まず立ち大パンである。ダブニーはまだいい、垂直に負けるしインパクトにも負けるから「弱点があるけど強力な技」としてギリギリ許せるけど(それでもスト6に存在できる地上技の性能として上限ギリギリの最強技だと思う)、立ち大パンは完全にラインを越えていると思う。ダブニーはそのままでもいいけど立ち大パンは直してほしい。
どこを直してほしいか。技として、弱点をもう少し増やしてほしい。
立ち大パンとはどんな技であるか。というかそもそも、スト6の地上技の性能ってなにで決まっているのか。以下の要素がある。
・発生
・リーチ
・全体フレーム
・判定の強さ
・キャンセルの可否
・ガード後の状況
・通常ヒット時の状況
・カウンター時の状況
・パニカン時の状況
だいたいこんなもんである。それぞれについて、良ければ長所となり、悪ければ短所となる。どんな技にも長所と短所があって、それを間合いに応じて使い分けたり、短所を補い合うように組み合わせたり、相手の行動に相性の良い技をジャンケンのように出すことで、地上戦の駆け引きは成り立っている。全ての技には長所と短所がなければならない。
ところがベガの立ち大パンは、この点でバランスを欠いている。短所は些細なもので、長所が莫大すぎる。
立ち大パンの弱点は「発生が19Fと遅めである」ことと、…………いや、それだけである。発生が遅いので見てからジャスパを取られる可能性があるが、それだけである。
その他は、リーチが長いので空ぶりづらく、判定が強いので置き技を潰し、SAキャンセル可能なのでインパクトを取られず、ガードされても確反がなく(というか有利が取れるし投げ間合いにも入れる)、当たれば通常/カウンター/パニカン問わず火力が高いので相手の技との殴り合いで勝てる。
つまり? ベガの立ち大パンは、こう整理してみると「見てからジャスパを取る」以外の全ての選択肢に対して勝つことがわかる。しかも19Fである。取れるって言ったってギリギリである。さすがに強すぎる。弱点の小ささに対して長所の大きさが見合ってないと思う。
調整案
調整案。おおざっぱに二つある。ひとつは短所の度合いを大きくして長所の度合いを小さくすること。もうひとつは、新しい短所を設定して、今ある長所のいくつかをなくすこと。
例えば、単純に発生を19Fより遅くしてジャスパを取れる確率を高くする。発生20F付近は1Fの差がかなり大きいので、例えば23Fとかになったら他の性能このままでもギリ良い気がする。長所を小さくする方向だと、始動補正を増やして火力を落とすとか(いま20%だけど30%にするとか)、ガードさせたときの距離の縮まり方を小さくして攻めづらくするとか。両方ちょっとずつやって、例えば発生21F、始動補正30%、ガードバック増加とか。使用感はそこまで大きく変わらないで、シンプルにちょっと弱くなる。
ただ、さすがにジャスパ取るしかない技がこんだけの支配力を持ってるのはどうかと思うので、もう一つくらい短所を付けても良い気がする。で長所もいくらか許せない部分があるのでそもそも変えてほしい。具体的には短所として「置き技に負ける」「ガードに負ける」「インパクトに負ける」のどれか一つは付けてほしい。さすがにジャスパ取るしかなくて取れないと地上戦絶対勝てません飛ぶしかないです、というのはストリートファイター感なさすぎる。
あと長所のほう、ガードで有利になるのを仮に許したとしても、投げ間合いに入れるのは絶対だめだと思う。さすがに。こんだけリターンある技がガードに負けないだけでも変なのに、「ガードを崩せる」のはさすがにやり過ぎである。ガードに勝てる行動は上記の要素全部がめちゃくちゃ弱くなければならないと思う。歩き投げしかり、前ステップしかり。
まとめ
まとめて、大パンの調整は「発生20~23F、始動補正30%、アーマーに取られたときSAキャンセル不可、ガードさせたとき必ず投げ間合い外になる」はどうでしょう。まず短所として見てからジャスパっていう上級者向けの高難度テクニック以外にも「長い牽制にはインパクト」っていうスト6の基本的な対処法が使えるようになるのと、ガードを崩せる役割はさすがに強すぎるのでなくした形。これでも大攻撃牽制としては相変わらず最強クラスだろうと思う。判定の強い大ゴス、もしくはいくらめりこんでも良い中灼火。
ぜんぶ入れたら弱すぎるか。インパクト確定するなら発生19Fのままでもいいのかもしれない。投げ間合いに入れないなら始動補正は20%のままでもいいかもしれない。わかんないが。とりあえず大パンはどっかいじってほしい。
次の技へ。
ダブルニーは意外とこれで良い気がする。大パンを越えるくらい最強の地上技だけど垂直に負けるという致命的な弱点があってギリギリバランスが取れている。
どちらかというと「ダブニー対策で垂直を置く」という駆け引きが嫌だなと思う。絵面も変だし、それ以外の地上技でまともに勝てないのも奇妙だ。垂直ジャンプを弱くしてほしい、というスト6全体への要望がちょっとある。空ジャンプに着地硬直付けて大足対空出来るようにするとか。で垂直を弱くしたぶんこういう突進技にはまた別の弱点を付ける。大がかりすぎるか。
シャドウライズ
そもそもどんな技なのか
シャドウライズはどうにかしてほしい。もうね、これはもう全部。逆にどこを許せばいいのかわからない。
シャドウライズの何が嫌いかって、差し合いに絡んでなさすぎるところである。ストリートファイターの面白さは間合い戦にある。細かい歩きで間合いをやりとりして、お互いの動きを見て技を振るタイミングを計るのが面白いのである。ガードを崩せる技も基本的にはこの文脈に乗っかっている。ケンの強龍尾は地上技によく負けるので相手の技が止んだタイミングを探す必要があるし、テリーの中バーン先端当てはまさに相手の歩き方を読まなければならない、でバーンを警戒して先端間合いを外すという歩き方が生まれて、テリー側もバーン先端間合いを作ろうとしたり、バーンの圧で相手を歩かせるのを利用して例えば弾を撃ちやすくしたり距離を詰めやすくしたりという駆け引きがある。
シャドウライズは地上戦に全く絡まない。全ての地上技を避けつつ、全ての地上技に勝つ。シャドウライズに対して、普通の差し合いで使う技は全く通用しない。何なら普通の対空技も効かない、シャドウライズ対策でしか対抗できない。
でしかもガードを崩しにいける。ストリートファイターの奥深さは「ガードを崩すのが難しい」という点にあるのだ。ガードを崩せないから駆け引きの試行回数が増えて、展開が遅くなり、運による部分よりもお互いの動きを読んで分析する駆け引きの比重が大きくなるのである。
脱線、ストリートファイターはなぜ奥が深いのか
ストリートファイターの奥深さは「ものすごくリターンの小さい駆け引きを、ものすごく多い回数行う」というところにある。ちょっと歩けるだけ、ちょっと削れるだけ、ちょっと歩き投げに行ける可能性がなくはないというだけ。その小さい駆け引きを毎秒毎秒、1ラウンドに何十回も百回も行うので、毎試合自分とその相手でしか起きない試合内容になるのである。ガードを崩せる技が増えると一回の駆け引きのリターンが増えて試行回数が減って、お互いの実力よりその一回の結果がどうなったかという運に左右されるところが大きくなる。それでもストリートファイターは他のゲームより実力差が出やすいほうだと思うけど。自分がガードを崩せる技を嫌うのはそのためである。
調整案
シャドウライズはさすがにやりすぎである。どうすればいいか? わからないが、少なくとも差し合いに存在する選択肢のうち一つには負けるようになってほしい。ガード、歩き、インパクト、飛び、弾、置き技、どれかには負けるものであってほしい。エドの溜めフリッカーも飛びとインパクトに負けるし。
とはいえ地上技に当たるような見た目はしていない。ので弱点を追加するなら「飛びに負ける」しかないなと思う。具体的には、デビルリバースが空中の相手に当たらないようにする。そうなると空対空が安定になりそうだけど(見てれば一つの対処法で全部の派生を落とせる、ではさすがにかわいそうだと思うが)、弱ライズ→即ヘップレ、の手前着地で空対空をスカして有利フレームが取れるという択もあるので、別に構わない気がする。
シャドウライズが飛びに負けるようにする、というのはけっこう良いのでは。相手が空中から来るので自分も飛んで迎え撃つというのはわりと直感的な発想だし、それで対処できるならまだストリートファイターの文脈にギリギリ乗っているなと思う。
とにかく「見てからシャドウライズ対策をやる」以外の弱点をひとつ付けてほしい。
シャドウライズに対してまだまだある。
まずガードで投げ間合いに入らないようにしてほしい。さすがに。せめて五分か、ベガ有利だとしても投げ間合い外だ。地上を全部無視して間合いを詰めれてラインを上げれますというだけでも強いのに、ガードを崩せるのはさすがにやりすぎだと思う。
ガードを崩せる技にはものすごいリスクがなければならないと思う。特に奇襲技は常に仕掛ける側に知識があって対処する側のほうが知識に乏しいんだから、派生があって複雑な技は複雑であること自体が強みにもなる。のでケンの強龍尾みたいな「反応できればこの技で必ず返せる」という技は多少強くてもいいかもしれないが、エドの溜めフリッカーみたいな「反応した上で、まだ駆け引きになっている」という技はむしろちょっと弱く作るべきだと思う。通しても+1Fしか有利がないとか、ガードを崩せるけどヒットしてもあんまり高くないとか、返されたときにものすごく痛いとか。
のでいろいろいじりたい。まずデビリバ空中ヒット時にダウンしないように。空対空を落とされたときに起き攻めが付かないようにしてほしい。それからデビリバに派生できるタイミングを遅くしてほしい。見てから空対空がもう少し簡単になるように。「見てれば落とせるけど見てないと無理」くらいで。現状見てるのに負けることが多すぎる。そして裏回り関連を弱体化してほしい。押し合い判定を伸ばして裏回りづらくしてほしいし、裏に回ってからデビリバを振り向いて出せないようにしてほしい。
あとデビリバを「空ぶってはいけない」技にしてほしい。デビリバを出したけど当たらずに着地したときの隙をもっと増やしてほしい。身体を逆さにして受け身も取れない姿勢で降りてるんだからもっとガクっとなるのが見た目的にも自然である。欲を言えば裏回りデビリバに通常技対空を出して空ぶったときベガ側が不利になるようにしてほしい。デビリバに派生したのを見てから対空技を押したらとりあえず損はしない、という感じになってほしい。それだってヘップレされてたら削られるリスクがあるわけだし。
ODヘップレを弱体化してほしい。これもガードを崩せるのがやりすぎだし、威力が高すぎる。ODライズからしか出ないようにしてくれたらとりあえず良い。通常ライズから出せるままだったらガードには勝たないようにしてほしい。高威力でデビリバより早いほぼ見えない技なんだから、ガードされたらせめて投げ間合い外である。ベガ側微不利でもいいくらい。
というか今気づいたけどデビリバで真上まで来れたらODヘップレが全部の選択肢に勝つのか。ヤバすぎる。
サマーソルトスカイダイバーもである。投げ間合い有利を取るのをやめてほしい。せめて歩き投げの駆け引きにしてほしい。もうちょっと駆け引きの試行回数がほしい。
まとめ
つまり? 特に大事なのはどこだろう。まずデビリバへの派生タイミングか発生を3Fから5Fくらい遅らせてほしい。ODヘップレはODライズから限定にしてほしい。デビリバ空中ヒットはダウンしないようにしてほしい。裏回った後はデビリバを振り向いて出せないようにしてほしいし、デビリバが空ぶったときの着地硬直を増やしてほしい。そしてできれば、デビリバやスカイダイバーやODヘップレをガードさせた後の状況をもう少し弱くしてほしい(+1Fにするか、できれば投げ間合い外にするか)。歩き投げや中足ラッシュの起点になるだけでいいじゃんと。いきなり投げにいけるのはさすがに読み合いの試行回数を減らしすぎている。
シャドウライズはこんなもんか。
ベガ調整、総評
あと全体的に火力を落としてほしい。どの技のどこをいじればいいかはわからないけど。
もしくはデビリバや大パンをあんまりナーフしないなら(見てから対処できるかどうかの試合にするんなら)、キンバリーやJPみたいなもんだと思ってむしろダブニーとかしゃがみ中パンとかのまともな地上技のほうをがっつり弱くするという方針もある。荒らし特化キャラ。まともにやっても強いところに荒らし技がプラスアルファで乗っかって強いキャラなので、逆に今普通なところに弱点を作るという方針もある。好き勝手やれる暴虐の悪役キャラという印象を維持したいなら、立ち中Kの全体フレーム増やして判定弱くしたりしゃがみ中パンに始動補正付けたりっていう。柔道をいじるのもある。
併用もある、大パンとシャドウライズをナーフするんだけど微妙に勘弁しつつ、そのほかをちょっとずつ弱くするっていう。
これくらいか。
とにかく大パンとシャドウライズです。共通して言えるのは、専用の対策だけじゃなく、普通の差し合いに使うパーツのうち一つには負けるようにしてほしい。大パンはインパクトに負けるように、シャドウライズは飛びと噛み合ったときに負けるように。どうでしょうか。
その上で、ガードを崩せないようにしてほしい。ガードを崩したければ、「ガードに勝てるけど短所がある」という技を勇気を持って使う必要がある、というゲームであってほしい。隙を承知で前ステするか、他の技で布石を打ってから歩くか、ゲージを払ってラッシュを仕掛けるか。どれも差し合いの中で潰される可能性がある。差し合いを戦った末の選択肢である。大パンとシャドウライズはほとんどの選択肢に勝つのに、ついでにガードにも勝ってしまう。ガードを崩せる技は他の選択肢に負ける、いろんな選択肢に勝つ強い技はガードに負ける。これがストリートファイターの原則であってほしい。
とにかく、差し合いに絡めてほしい
もっと簡単に言うと? 大パンとシャドウライズを、差し合いに絡むようにしてほしい。現状「差し合いを無視する」技になっている。良い技とは差し合いを奥深くする技だと思う。尖った技を作るにしても、差し合いにスパイスを加える程度、対処できなければ差し合いの中で強い技として存在感を持つくらいであってほしい。「対処できないと、差し合いが起きない」というのはストリートファイターを破壊していると言ってしまっても良いくらいである。ストⅡのバルログみたいなもんである。そういうキャラが令和に一体くらいいてもいいだろうと言う人もたぶんいるだろう。自分は嫌である。嫌だと言うほうに一票を入れます。
スト6も結局差し合いが主で、そこにいろいろスパイスとして要素がくっついているのが良い。大パンとシャドウライズは差し合いの外にある。差し合いと絡むようにしてほしい。差し合いの、普通の大攻撃や置き技や飛びや弾や歩きに対して、負ける可能性をもっと増やしてほしい。全部に勝つ選択肢が存在したら駆け引きではなくなる。現状、大パンとシャドウライズはほぼ全ての選択肢に勝つ。相手が専用の対策をできるかできないかだけが勝負で、できないとそのほかの手段では対処できない。しかもガードを崩すのでそのまま試合が終わるくらいのリターンが出る。
次バージョンで、他の全部を据え置きにしても、大パンとシャドウライズは絶対にナーフしてほしい。よろしくお願いします。